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2014年9月2日火曜日

劇団らくりん座公演「ロマの娘たち」 感想

劇団らくりん座公演「ロマの娘たち」 感想


先日、別件で那須野が原ハーモニーホールへ立ち寄ると、らくりん座さんの公演がこれから始まろうとしていました。慌ててチケットを購入。飛び込みで観劇となる。(まるで都内みたいだ)

公演後の舞台セットの様子を撮影したかったのですが、残念ながら撮影は禁止。あの雰囲気を伝えられるか不安ですが、思いのままに。時系列が変かもしれませんが、気にせずに読み流してください。

らくりん座さんの公演を最初に観たのは遥か昔・・・いつだろう。

なんだか、いつの間にか自分の演劇観の中に存在していて、「お芝居ってこうだよね」というお芝居の概念の大きな要素になっている気がします。

なんというか、温かい。なんというか、ゆったりと、そして早く。
なんというか、分かりやすい。なんというか、伝わってくる。

なんというか、説明が難しいのですが、そういう空気がそのままありました。

公演形式は、主催が公益財団法人那須野が原文化振興財団、大田原市や那須塩原市の教育委員会が後援となっていました。

今回の演出を務めている印南貞人さんが、確か15年程前に、栃木県芸術祭演劇祭の開会挨拶の際に、「文化をこれからも官民の方がサポートしてくれるようお願い致します」と述べていたのが印象的で、本当にそういう形が今も続いているのだなと、パンフレットを見ながら嬉しく思いました。

文化を商業の中心にして栄えている都市や町は沢山あるも、栃木県はその例外地区と言っても過言じゃないと思います。そうなると、市や県の助け無しでは、栃木の文化(演劇だけではなくその他も)、他県に遅れを取ってしまうのは分かります。

らくりん座さんの活動は、演劇を通して、こういった文化の価値を市民(大人や子供たち)や、行政に伝えていく、大事な役割を担っているのだなと思います。"教育"という分かりやすい入り口で見易くなっていますが、劇団の根本には、更なる深い意味、深い思いが隠れているのではないでしょうか。

さて、本番が始まると、思いきや、あちらこちらから生楽器の音が鳴り響きます。いつの間にか演奏となり、ストーリが歌で伝えられて行きます。ぴたと終わると、

「私達は栃木県で生まれ、栃木県で育った劇団です。これからも県内や全国の子供たちと演劇を通して一緒に成長していきたいと思います」と、挨拶が。

いいですね、スカッとした始まりで。とても引き込まれました。

『ロマの娘たち』は、大喰らいのオンドリが、めんどり達を救うべく欲深い大金持ちと戦うというお話。

コケ コケ コケ という役者達が舞台の上をあちこちと駆けまわります。そこへ、生演奏のための楽器が何種類も用意されていて、各所に音を響かせます。これが大変 小気味良い。

ここは間違っているかもしれないので、注意深く書きますが、恐らくこの公演のために参加した子供が数人いらっしゃり、その方達の見せ場も用意されていて、演出の妙技でしょうか、会場を盛り上げました。

子供が登場するお芝居というのは、どうしても温かい目、贔屓目に見てしまいがちですが、大体はおろそかな状態になものです。ですが、この公演では、子供たちの役割が見事にまっとうされていて、「普通」に観ていました。

演じてる側も大変楽しそうに見えましたし、何より、その集中力に驚きます。
"自分がこのくらいの歳にステージに立って、あんな集中した表情を出せるものか?"
色んな意味で興味が湧きました。

支えになっているのは玄人役者さん達で、要所要所を固めてストーリの輪郭をきっちりさせていました。あれこれと出てくる小道具達が、装置の役割となり、舞台上に火事や湖や大きくなっていく鶏などをすんなり表現していました。あれだけ道具を使っても舞台が混乱しないことにも驚きますが、舞台上では何でもありなんだなと感じさせる巧みな表現方法の数々は、

「さすが、らくりん座」と思うしかありません。劇団の経験値というものが、こうやって舞台の上に現れるのだなと感じました。

話は段々と山場へ向かい、そしてカーテンコールへ。なんと、激しいドラムで最後は終わるのです。それがまた気持ち良い。

子供たちの方が割合は多かったにも関わらず、こんなに盛り上げちゃうなんて。

前に、ここでも書きましたが、らくりん座の前主宰の故・浅野先生が仰っていました。
「子供だからこそ良い物じゃないと伝わらない。子供用の作品なんて無いんです。」と。

本当にそうなんだろうな、と感じる舞台でした。

素敵に輝く舞台の上の役者さん達に、盛大な拍手をもう一度送りたいです。


演劇って、ホント、いいですね。

>>らくりん座『ロマの娘たち』






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